鍼灸の適応症-鍼灸ってどのようなときに受けたら良いのかな?

ライラック治療室

どのような症状に施術可能ですか?

東洋医学には「治未病ちみびょう」とか「未病先防みびょうせんぼう」という概念が共有されています.これらは予防の重要性を説いたものであり,日頃から身体の抵抗力を高めるように努め,邪の影響を受けにくいように生活環境や食べ物に注意を払う事が大切であるという考え方です.古典である黄帝内経には上医ほど治未病に努める事が書かれています.

「病む前にお越し下さい!」といっても,一億総活躍社会を目指す我が国では「忙しくてそんなの無理だよ」と一蹴されるのが落ちかと思います.大人は仕事に忙しく,子供は勉強・スポーツ・習い事などに多忙を極め,引退の先送りで働き続ける高齢者,自立が難しくなると介護やら支援やらでこれまた慌ただしい.

ということで,治未病という理想はささっと放り投げ,「このような症状があったら鍼灸が良いかも」という適応症をご紹介したいと思います.

鍼灸の適応を紹介するに当たり予め一つ申し上げておきたいこと.それは,鍼灸の適応は現代医学の症状疾患名で一律に判断されるものではないということです.同じ症状であっても,その程度によって判断が異なることがあるからです.

例えば,腰痛を例にして考えますと,器質性だから鍼灸は不可で非器質性だから適応と単純に考えるべきではないと愚考します.変形性腰椎症とか椎間板ヘルニアの器質性のものであっても状況によっては鍼灸が役立つ場合は少なくないだろうし,非器質性であっても手こずる事もあります.非特異的腰痛症といって検査では原因がはっきりしない腰痛もあります.ライフスタイル・ストレスなどが痛みの要因に深く関わっているのだろうと考えられています.

治未病とは大きく乖離しますが,わたくしの鍼灸院では慢性の症状を扱うことが多いのが現実.クライアントとコミュニケーションをとりながら,施術することが何よりも優先されるべき事だろうと思います.互いに満足感を共有できることが適応の基礎なのだと思います.

抽象的なことはこれくらいにして,わたくしの施術所で比較的多く見られる症状を以下に紹介します.

不妊症

  • 卵胞が育ちにくい
  • 排卵障害があるなどの機能性不妊症
    (妊娠に関わるホルモンの分泌異常、卵巣機能不全、黄体機能不全、多嚢胞性卵巣など)https://hashidoi.net/room-2/
  • 原因不明不妊
  • 高齢不妊(加齢に伴う妊孕性の低下)
  • タイミング法・人工授精法の妊娠率を上げたい

排卵時期を知る方法にはどのような方法があるのか?
妊娠初期において,心神が継続できない理由にはどのようなことが考えられますか?
生殖医療において,鍼灸を併用するメリットとは?

月経に関連するトラブル

目のトラブル

加齢による諸症状

目のかすみ 見えにくい 聞こえにくい トイレが近い よく眠れない 歯が浮いている感じがする なんとなく不安である 肩が痛む 腰が痛む 指が痛む 胸が苦しくなる もの忘れが気になる 足腰が衰えてきた気がする 足がつる 身体がだるい

抵抗力(免疫)の低下などによる症状

冷え性 風邪を引きやすい 風邪が長引く 風邪を引いても熱が出ない 膀胱炎になりやすい 下痢しやすい 病気にかかりにくい身体作りをしたい
顔面神経麻痺

ストレスが関連する症状

背中が苦しい 自律神経の失調 慢性頭痛 慢性肩こり 睡眠障害 慢性的な胃の痛み 慢性的な胸部の痛み・絞扼感 めまい・ふらつき 過敏性腸症候群 円形脱毛

更年期の諸症状(更年期障害)の緩和

肩こり 関節痛 腰痛 筋痛 のぼせ 顔面紅潮 発汗 冷え性 動悸 頭痛 めまい 耳鳴り 抑うつ 不安感 意欲低下 易疲労感 湿疹 掻痒感 口渇 頻尿 食欲不振 悪心 下痢 腹部痛

口腔に関連する症状

顎関節症(顎関節の痛み・開口障害・頚肩のこり・痛み・頭痛などの随伴症状) 口内炎 歯周病 かみしめ 歯ぎしり

痛み症状の緩和

腰痛症

疲労性 椎間関節の変形 椎間板の変形・ヘルニア 婦人科系の疾患・不調に由来するもの etc.

足腰の痛み

坐骨神経痛などの痛み 殿部(股関節周囲)筋による痛み 股関節の痛み 膝の痛み腫れ 踵・土踏まずの痛み etc.

頭痛(慢性的なもの)

頸肩こり・疲労によるもの 片頭痛 眼・鼻・口腔・耳など感覚の異常に因るもの etc.

肩関節の痛み

五十肩、筋肉や腱の炎症 etc.

頸肩の痛み

筋疲労に因るもの 頚椎周囲の変形に因るもの 頚椎の捻挫および後遺症に因るもの ストレスに因るもの 眼・鼻・口腔など感覚器の異常に由来するもの  etc.

腕肘手の痛み

頸部・胸郭部の変形や筋によるもの(頸椎症・ヘルニア・胸郭出口症候群etc.) 肘周囲の筋・腱に因る痛み・神経痛 手指の筋の疲労・炎症 etc.

全身性の痛み

筋筋膜性疼痛症候群(MPS) 
トリガーポイントによる痛み 
線維筋痛症(FMS/Fibromyalgia Syndrome)
慢性疲労症候群(CFS/Chronic Fatigue Syndrome) などの症状緩和


Q&A

Q.慢性疾患とか加齢による症状とか本当に治せるの?

《 鍼灸的介入=治癒 》ではありません。組織の酸化などが原因の背景にある場合には、進行を防ぐ、或いは遅らせることを目的に施術することが一般的です。慢性疾患の多くは治癒させることが難しいから慢性化してます。”悪化を予防する”とか”苦痛を軽減する””緩和する”という考え方で介入することは、医療サイドでも普通のことかと思います。

Q.正常眼圧緑内障への鍼灸施術について具体的に教えていただきたいが?

正常眼圧緑内障とか加齢黄斑変性の背景要因の一つに、脈絡膜の毛細血管の血流低下があると報告されています。加齢による動脈硬化とか強度近視による眼球伸長などは血流の低下のリスクとなります。

鍼やLLLTを照射すると、血管内皮細胞からNO(一酸化窒素)が分泌され血管は弛緩します。眼動脈への流入を考慮した動脈への照射、或いは頸部交感神経節への照射による交感神経の緊張緩和などを目的に施術します。

実際に発症している場合には、眼科で定期的に診察治療を受けている方で、うまくコントロール出来ていないようなケースが主な対象となります。

予防的に施術を受けたい場合にはどなたでも対象となります。

Q.不妊症の場合には何を目的に施術するのですか?

血流を良くすること,ストレスによる身体への影響を緩和することなどを目的に施術いたします.定期的に鍼灸を受療した場合に,妊娠率が上がること,AMHの値が上がる場合があることなどが報告されています。継続的な血流の改善は半年以上に及ぶ卵胞・卵子の発育環境改善に繋がる可能性があります。子宮の血流改善を目的と鍼灸は,自律神経を介して免疫やサイトカインなどを整えることで着床を促す一助となるかも知れません.

移植周期だけの施術と行った短期間の施術はあまり妊娠成績に影響しないことも分かっています.コツコツと施術を継続することで妊娠しやすい環境を整えること,言い換えれば身体作りを目的に当室では施術いたします.

Q.鍼灸で慢性痛は解消できますか?

慢性痛の場合でも鍼灸で痛みを解消できた症例はあります。しかし,必ず解消できるわけではありません.慢性痛の原因の一つに、痛みを抑制緩和する脳(中枢)の働きが低下しているため、痛みを感じ続けてしまうというものがあります.鍼灸はこの様な脳の働きを改善する作用があることは判明しています.その作用がどの程度続くのかはケースバイケースです.

また,炎症の長期化(慢性炎症)や不動(動かないこと)によって筋膜の線維化が促されます.そうすると,硬いコラーゲン繊維になってしまうため筋膜上の神経のレセプターが異常興奮して痛みを感じやすくなり慢性痛の要因となります.
理想は解消ですが,鍼灸で痛みを緩和しつつQOLの向上図る方もいらっしゃいます.

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