排卵時期を知る方法にはどのような方法があるのか?

不妊と鍼灸治療 ライラック治療室

時々患者さんに質問されることがありますので,簡潔に整理しておきたいと思います.病院などではエコーやホルモン値などによって排卵日を予測しますが、ここではカップルでタイミング法を試みていることを前提に記したいと思います.

頸管粘液の観察

これは,Cervical Mucus Method と言います. 生理周期中におりものの変化を観察し、排卵時期を把握します。排卵が近づくと、頸管粘液が増え、透明で伸びる性状となります。

頸管粘液の観察による方法は、特に自然な方法で排卵時期を知りたい方に役立ちます。以下は、頸管粘液の観察方法の基本的な手順です:

  1. 手洗いをして清潔な手でおりものを観察することから始めます。
  2. トイレットペーパーでおりものを拭き取り、指についたおりものを観察します。または、指を膣に挿入しておりものを取ります。
  3. おりものの量や色、質、伸び具合を観察します。排卵が近づくと、おりものが増え透明で伸びる性状になることがあります。これは卵子が受精可能な状態を示すものです。
  4. 頸管粘液が最も透明で伸びる性状を示す日が排卵日に近い可能性が高いです。

生理周期が比較的安定している場合には,数周期の間,観察した結果を記録に残しておくと変化のパターンが見えてくることがありますので試してみるとよろしいかと思います.

妊娠可能な日は,排卵の3~4日前から排卵日までと言われています.これと頸管粘液の観察とを組み合わせると,妊娠可能ゾーンでたくさんタイミングがとれるかと思います.

排卵予測キットを使用する

これは,Ovulation Predictor Kits と言います.排卵予測キットを利用して、尿中の排卵を示すホルモン(LH)の増加を検出します。LHサージがあることで排卵が起こる可能性が高まります。

排卵予測キットが陽性になった後、実際の排卵が起こるまでの時間は個人差がありますが、一般的には24〜36時間以内に排卵することが多いです。ただし、女性の個別の生理的特徴やホルモンの変動によって、この期間は異なる場合があります。

排卵予測キットは尿中のLH(黄体形成ホルモン)を検出することで排卵のサインを示すものであり、LHサージが起こることで排卵が近づいていることを示します。排卵は通常LHサージの後に起こりますが、LHサージのピークと実際の排卵の間には時間のかかることがあります。

個人差があるため、排卵予測キットを使用しても正確な排卵のタイミングを特定することは難しいことがあります。また、排卵予測キットが陽性になった後も性行為を継続することが推奨される場合があります。これにより、排卵後の時間をカバーし、妊娠の可能性を高めることができます。

基礎体温法

Basal Body Temperature Method と言います.毎朝起床した直後の体温を測定し、排卵時期に体温がわずかに上昇することを観察します。排卵が起きると、体温が上昇する傾向があります。

基礎体温法にはいくつかの問題点があります。

  1. 反応時間の遅さ: 基礎体温法では、排卵が起こった後に体温が上昇することを観察します。そのため、実際の排卵が起こってから体温変化が確認されるまでに時間がかかります。これにより、排卵前のタイミングを逃してしまう可能性があります。
  2. 不規則なサイクルの影響: 一部の女性は周期が不規則であるため、排卵日の特定が難しいことがあります。特にストレスや病気などがサイクルに影響を与える場合、体温変化が明確でないことがあります。
  3. 睡眠や起床時間の影響: 基礎体温法では、毎朝同じ時間に起きて体温を測定する必要があります。睡眠時間や起床時間が一定でない場合、正確な体温変化を捉えることが難しくなります。
  4. 他の要因への影響: 体温は他の要因によっても変動するため、正確な結果を得るには適切な環境で測定する必要があります。発熱やアルコール摂取、環境の変化などが体温に影響を与える可能性があります。

これらの問題点により、基礎体温法は正確な排卵予測を得るのに限界があるとされています。

排卵までの日数と妊娠率,性交日数と妊娠率

手元の参考書「データから考える 不妊症.不育症治療 メジカルビュー社」によると,

妊娠の可能性があるのは排卵の5日前までで,排卵の前日・2日前がそれぞれ2割半ほどの臨床的妊娠率,4日前・3日前・排卵当日が1割ほどの臨床的妊娠率,5日前だと5%未満の妊娠率と記されています.

また,排卵5日前から排卵当日までの性交日数(回数)と妊娠率の関連では,

1日(回)26.4%
2日(回)28.0%
3日(回)37.5%
4日(回)46.6%
5日(回)33.3%
6日(回)10.0%

以上のように,妊娠可能ゾーンの6日間で3~5回ほどの性交回数が妊娠率が高くなると記されています.

まとめ

タイミング法の場合には,正確な排卵日を特定してそれに併せて1回タイミングをとると言う考え方よりも,排卵日を後限とした数日間の妊娠可能ゾーンで幾度かの性交渉を持つ方が妊娠の可能性が高まると言えます.月経周期が比較的安定している場合には,頸管粘液の観察などで妊娠可能ゾーンを認識してトライするとナチュラルな妊活が可能かも知れません.

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