鍼と論文 発作性の片頭痛と鍼

鍼と論文と雑感と

Manual acupuncture versus sham acupuncture and usual care for prophylaxis of episodic migraine without aura: multicentre, randomised clinical trial

片頭痛ってどのような病気なの?

片頭痛とは,その痛みの発症に三叉神経と脳の血管の炎症拡張が関わる発作性反復性の頭痛です.片側性の痛み発作が一度生じると,4~72時間に渡って痛みが継続するという大きな苦痛を伴う疾患です.しかも,この片頭痛の有病率は8.4%であり,女性の方が男性よりも3.6倍高い状況にあります.

一般的に,薬剤による治療が行われており,①今ある痛みを緩和すること,②痛み発作を予防すること,それぞれの目的に沿って薬が処方されている状況下であると思います.

最近では,片頭痛の頻度が高い方や既存の薬の効果が不十分な方などを対象に,三叉神経から放出されるGCRPという血管に拡張や炎症などを引き起こす物質の働きを阻害する薬の注射による治療も行われています.

どのような研究だったのか?

ご紹介する鍼の研究は,①鍼治療の経験が無い患者を対象に,②前兆症状のない発作性片頭痛に対する,③予防的治療としての手技鍼治療の有効性を評価すること,を目的に行われました.

150名を対象にした研究で,A.手技鍼治療を20セッション+通常の薬剤治療グループ,B.偽鍼20セッション(非刺入&非経穴)+通常の薬剤治療グループ,C.通常の治療 の3グループを20週に渡り,4週毎に日数と発作の変化を比較したものです.

Manual acupuncture versus sham acupuncture and usual care for prophylaxis of episodic migraine without aura: multicentre, randomised clinical trial

どのような結果を得られたのか?

結論からいいますと,A.手技鍼20セッション+通常の薬剤治療グループの効果が他のグループよりも高かった.13週以降,特に17週以降の頭痛発作日数の減少が大きかった.

最新の注射治療は,毎月病院を受診すること,薬剤が高額であることが指摘されています.

鍼を定期的に受療するというのも面倒くささでは同じですが,予防薬を飲み続ける事に抵抗がある方や,仕事の事情などで病院を受診しにくいという事情があるケースなどでは選択肢になるかも知れませんね.

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