秋といえば花粉.でも,アレルゲン検査が陰性なのに,鼻炎や目・身体の痒みが起こるのはなぜ?

目の健康と鍼灸

はじめに

秋になって,鼻水やくしゃみ,目の痒み,身体の痒みに悩まされていませんか?

「秋の花粉症かもしれない」と耳鼻科で検査を受けたものの,アレルゲン検査では異常が見つからなかった.それでも症状が続き,抗ヒスタミン薬を飲むと楽になる――.このような場合,何が起きているのでしょうか?

実は,アレルゲン検査が陰性でも,鼻炎や痒みが起こる理由はいくつかあります. 秋の不調を考えるときは,花粉だけでなく,乾燥や寒暖差,空気中のほこり・粒子などにも目を向けることが大切です.

検査が陰性でも、すべてのアレルギーを否定できるわけではありません

一般的な血液のアレルゲン検査では,選ばれた物質に対する「特異的IgE抗体」を調べます.

そのため,陰性という結果は,調べた範囲では反応が確認されなかったという意味です.検査に含まれていない物質や,検出基準に達しない反応まで,すべて否定できるわけではありません.

また,血液検査などでは反応が見つからなくても,鼻の粘膜で局所的にアレルギー反応が起こる「局所アレルギー性鼻炎」という病態も知られています.症状が続く場合は,検査結果だけで判断せず,症状の出方と合わせて耳鼻科で相談することが大切です.

花粉へのアレルギーがなくても、鼻は刺激に反応します

冷たい空気に触れたときや,暖かい室内から寒い屋外に出たときに,鼻水やくしゃみが出ることがあります.

これは,温度変化などに鼻の粘膜が過敏に反応しているためです.一般に「寒暖差アレルギー」と呼ばれますが,アレルゲンに対する免疫反応とは異なる仕組みです.鼻の知覚神経や自律神経による調節などが関わっています.

煙や香料などの刺激でも,鼻の症状が誘発されることがあります.秋の鼻炎には,こうした非アレルギー性の反応が含まれている可能性があります.

晴天が続く秋は、乾燥や空気中の粒子にも目を向けて

晴れの日が続き,「洗車しても、すぐに車が汚れる」と感じることがあります.何らかの粒子が飛んでいる手掛かりにはなりますが,汚れを見ただけでは,花粉なのか,土ぼこりや道路の粉じんなのかは分かりません.

こうした環境では,アレルギー反応だけでなく,目や鼻への刺激が症状に関わっている可能性も考えられます.

また,皮膚が乾燥すると,外からの刺激を防ぐバリア機能が低下し,痒みが起こりやすくなります.衣類との摩擦や,熱いお湯での入浴,洗いすぎなどが重なると,さらに痒みが強まることもあります.

ただし,目の痒み,鼻炎,身体の痒みが,すべて同じ原因で起こっているとは限りません.鼻には寒暖差,皮膚には乾燥というように,複数の要因が重なっている場合もあります.

抗ヒスタミン薬が効くのに,アレルゲンが見つからないのは?

ヒスタミンは,痒みや鼻水などに関わる物質です.しかし,特定のアレルゲンに反応したときだけ放出されるわけではありません.

例えば蕁麻疹では,寒冷,摩擦,圧迫,体温上昇,発汗などをきっかけに症状が起こる場合があります.明らかな誘因が見つからない蕁麻疹もあります.こうした場合でもヒスタミンが関与するため,抗ヒスタミン薬で症状が和らぎます.

「掻くとミミズ腫れになる」「赤く盛り上がった発疹が出ても、しばらくすると消える」という場合は,蕁麻疹の可能性があります.診察時には消えていることもあるため,症状があるときの写真が役立ちます.

一方,乾燥や湿疹による痒みには,ヒスタミン以外の仕組みも関わっています.薬が効くかどうかだけで,原因を決めることはできません.

季節の変化と体調の関係は?

長雨の時期には活動量が減ったり,睡眠のリズムが崩れたりして,体調を整えにくくなる方もいるでしょう.そこから晴天が続く季節へ移り,乾燥や朝夕の冷え込みが加わると,身体にとって環境の変化が続くことになります.

ただし,鼻炎や痒みをすべて「自律神経の乱れ」で説明することはできません.体調の変化を背景として考えながら,鼻・目・皮膚それぞれの状態を確認することが大切です.

原因を探るには「どんなときに出るか」が手掛かりに

検査結果に加えて,日常生活での症状の出方を振り返ってみましょう.

  • 外出や屋外作業の後に強くなるか
  • 特定の部屋や寝具を使うと症状が出るか
  • 冷気や,屋内外の温度差で鼻水が出るか
  • 入浴,運動,衣類の締め付けで痒くなるか
  • 抗ヒスタミン薬で,どの症状がどの程度軽くなるか

こうした情報は,医師による診察においても原因を絞る助けになります.

日常では,皮膚の保湿,熱いお湯や洗いすぎを避けること,ほこりが多い場所でのマスクや眼鏡の使用など,症状に合った対策を取り入れましょう.

検査が陰性でも,症状には理由があります. 花粉だけに原因を求めず,乾燥,寒暖差,環境中の刺激,蕁麻疹などを含めて考えることで,対処の糸口が見つかることがあります.

症状が続く場合は,耳鼻科・眼科・皮膚科で相談してください.特に,発疹がほとんどないのに全身の痒みが長引く場合は,皮膚以外の原因についても確認が必要です.

鍼灸では、痒みに対して「点灸」を用いることもあります

鍼灸と聞くと,肩こりや腰痛への施術を思い浮かべる方が多いかもしれません.しかし,日ごろ当室をご利用頂いているお馴染みさんでしたら,たまたま鼻の調子が悪い時や目がかゆい時などに鍼や灸で対処された経験のある方は少なくないかと思います.

当室では,目鼻だけでなく,身体のかゆみの緩和を目指して,お灸を用いることもあります.

その一つが,小さな艾(もぐさ)を使い,限られた場所に短時間の刺激を与える「点灸てんきゅう」です.身体を広く温める温灸とは,刺激の与え方が異なる灸法です.

当室で施術する点灸は,ツボに灸点紙(灸熱緩和紙)を貼り,点灸用の上質もぐさをふんわりと米粒大~半米粒大程度に整えて据えます.瞬間的に軽くチクッとするよな熱刺激を感じます.

当室では,蕁麻疹などの痒みに対して点灸を用い,痒みが和らぐ方を経験しています.痒くて掻いてしまう,気になって落ち着かない――そんなつらさを少しでも軽くすることを目指す伝統医学に基づいた施術です.

ただし,痒みの原因や皮膚の状態によって,適した対処は異なります.必要なお薬や保湿などを続けながら,鍼灸でお手伝いできることがあるかを検討することが大切です.

点灸は,もぐさの大きさや捻りの硬さによる刺激の加減に技術を要し,火傷や痕が残ることもあるため,自己流で行わずにご相談ください.当室で施術する点灸は,基本的には灸熱緩和紙を用いますので,通常は火傷痕が残ることはありません.痒みでお困りの方も,どうぞお声がけください.

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