LLLT(低出力レーザー/光療法)って何ですか?

ライラック治療室

LLLTって何ですか?

LLLT ってあまり聞き慣れない言葉ですよね.まずは何の略かと申しますと, Low Level Light Therapy あるいは Low Level Laser Therapy の略で,直訳しますと低出力レーザー療法とか低出力光療法という訳語になります.実際にはこれらの他にも,Photobiomudulation,レーザー鍼,低反応レベルレーザー,コールドレーザー(cold laser)などと呼ばれることもあります.

鍼灸の世界では「レーザー鍼」という名称で昔から行われていて,副作用のない安全な施術方として知られています.

基本的には、近赤外線や赤線を用いた非熱的光線療法です。

Low-level laser (light) therapy is a general name to refer to many types of therapy based on photobiomodulatuion, a process that cause biological alteration in organisms due to photon interaction with atoms or molecules.

Handbook of Low-Level Laser Therapy, PAN STANFORD PUBLISHING

Low-level laser (light) therapy (LLLT), or photobiomodulation therapy (PBMT), is a general term that refer to therapeutic approaches based on the Photobiomodulation (PBM) principle that causes biological alteration in organisms, secondary to interactions of photons in the visible or infrared spectral regions with molecules in the cells or tissues.

Low-Level Light Therapy : Photobiomodulation, SPIE.

”光線療法って温めるんでしょ?” ”非熱的とはどういうことか?” などと疑問に思う方もあろうかと思います。

光には、波と粒子という2つの性質があります。前者は電磁波、後者が光子(フォトン).

LLLTの特徴は?

LLLTでは,ターゲットとする組織の細胞内に存在する光受容器※1(photoreceptor)にフォトン(光子)を吸収させることを目的とする施術法です.光源を皮膚から離れた状態で照射すると,皮膚表面で反射されてしまい体内深部へ照射を目的とした場合には効率が低下してしまう.また,ターゲットが身体の深部にある場合には,途中の脂肪・筋肉・水分など組織に吸収されてしまうため,到達する光エネルギーはほんの一部となってしまいます.

体内深部のターゲット細胞に十分なエネルギー(フォトン)吸収させようとすると,通常の照射方法では浅部の細胞が熱過剰な状態になってしまいます.

このように表面反射や熱の影響を抑えるように工夫を凝らした照射方法が,LLLTの特徴と言えます.

※1.光受容器 (photpreceptor) とはフォトンを吸収する物質です。Cox (cytochrome C oxsidase), flavin, porphyrin, hemoglobin, melanin, retinol, nuclear acid など多数存在します。それぞれ吸収しやすい波長が異なりますし、その後の生体の反応も異なります。

LLLTで使用する光線の特徴は?

米国国立医学図書館 (The National Library Medicine) の医学問題表題集 (MESH: Medical Subject Headings) によると,540nm~830nmの波長の低出力光線の明るさを利用するとありますが,一般的には可視光線領域から浸透到達性の高い近赤外線領域の波長を使う事が多いようです.

Coxは600-700nm(赤色)710-1100nm(近赤外線)の波長を良く吸収し,flavins(フラビン)やflavoproteins(フラビンタンパク質)は400-500nm(青色)・510-550nm(緑色),porphyrins(ポルフィリン)は560-590nm(黄色)・600-700nm(赤色)を良く吸収するというように,photoreceptorによって吸収する波長に違いがあります.

目的によって使用する光線をセレクトする事が必要です.

どのような効果が見込めるのですか?

  • 交感神経の過剰興奮を整える
  • 血行を改善する
  • ミトコンドリアの機能と代謝を整える
  • 炎症を整える
  • コラーゲン、エラスチンの産生を促し皮膚コンディションを整える
  • メラトニンの産生を促し睡眠状態・抗酸化力を整える

赤色光や近赤外線の浸透照者の場合ですと上の様の効果が報告されています.様々な効果が報告されていますので、これらはほんの一例です。こうした身体への働きかけを利用しながら病気症状の原因を考慮した上で軽減・維持、予防に活用します.

LLLTについて書かれた参考文献などはありますか?

国内では新しい専門書は出版されていないと思います。英文のものは比較的新しいものです。あくまで主観となりますが、専門書ですからあまり平易な英文では書かれていないと思います。

  • Handbook of Low-Level Laser Therapy, Pan Stanford Publishing
  • Low-Level Laser Therapy, NOVA science publishers
  • Low-Level Light Therapy : Photobiomodulation, SPIE
  • Photobiomodulation in the Brain, ACADEMIC PRESS
  • RED LIGHT THERAPY, Archangel Ink
  • 低反応レベルレーザーと直線偏光近赤外線,真興交易(株)医書出版部
  • 半導体レーザーによる疼痛治療ガイドブック,MEDICAL VIEW

LLLTの専門書ではありませんが、次の専門書でも取り上げられています。

  • 高齢不妊診療ハンドブック, 医学書院 P312-315

LLLTについてさらなる情報をネットでお探しの場合には以下のサイトをお勧めします.

LEDの光が痛みを軽減する7つのメカニズム(LLLT)

LLLTをどのような症状に施術しているのですか?

LLLTは様々な分野で活用されています。
ライラック治療室では,不妊症,血流が関連する目の症状,耳鳴りや難聴,軽い睡眠障害,慢性痛の軽減,関節の炎症などにも活用しています.
施術の頻度は,週に1~2回程度です.状態が悪ければ2回をお勧めします.

  • 血流が関連する目の症状疾患
    眼精疲労 発症予防
    悪化予防的介入(正常眼圧緑内障、加齢黄斑変性、高血圧etc.)
  • 不妊症・月経痛
  • 耳鳴り 難聴 鼻炎
  • 軽い睡眠障害
  • 慢性痛の軽減
    腰痛 頭痛 肩関節
  • 円形脱毛症 顔肌のコンディショニング

不妊症の場合にはどのように施術するのですか?

LLLTレーザー鍼
ミトコンドリア内の光受容器にフォトンを吸収させます.
  • 子宮や卵巣の血流を整える
  • 卵子や卵胞の細胞の代謝を整える

生殖目的の場合には,主にこの2つの改善を目的に施術します.そうすることで,上がりすぎてしまった基礎FSHが改善したり,採卵個数が増えたり, 凍結される胚の数が増えたりすることが報告されています.何よりも妊娠率が向上することも多く報告されています.

細胞内のミトコンドリアがフォトンを吸収することで,数が減少したり,機能が低下していたミトコンドリアの状態が改善することで,ホルモンを分泌する卵胞細胞や卵子の代謝が改善するのだろうと考えられています.

卵質の改善には継続的な施術が必要となります.

Q.具体的には何処に施術するのですか?

タイミング法,人工授精,ARTのどの場合でも基本的には 頸部の交感神経節 と 下腹部 に照射します.

Q.どのくらいの期間施術が必要なのですか?

効果が出るには早くても3ヶ月程度は必要だと考えられます.原始卵胞成長しが卵子が排卵するまでには6ヶ月半ほどかかりますので,焦らずにコツコツ受療することが肝要です.個人差は非常に大きく,2~3ヶ月程度で自然妊娠する方もあれば,2年半ほどかかって自然妊娠した方もあります.(どちらの場合も不妊の要件を満たしているケースです)

Q.施術の頻度はどのくらいですか?

基本的には,1~2回/週 です.
次のような場合には2回/週をお勧めします
*月経中の基礎ホルモン値が良くない
*AMHが低い
*年齢が高い
*妊娠できない期間(不妊歴)が長い
*排卵障害がある
*胚が凍結に至らない


LLLTによる顔の肌のコンディショニングはどんな感じですか?美容鍼とか美顔鍼との違いはありますか?

ライラック治療室では美容目的で顔に刺入する鍼は行っていませんので,”どんな効果がどのようにもたらされるのか?”については分かりかねます.

顔の肌は他部位の肌に比較すると,表皮と真皮が薄いという特徴があります.肌の弾力性には,真皮のコーラーゲン,エラスチン,ヒアルロン酸が重要です.紫外線によるダメージによりコラーゲンやエラスチンは減少します.また,加齢による影響としてもコラーゲンは減少します.

顔の皮膚が薄いと毛細血管が目立ちやすくなります.顔面部の鍼によって毛細血管が傷つき内出血が生じると,体幹部よりも目立ちやすい傾向があります.このことは美容を目的として鍼施術を受ける患者さんにとっては不幸な結果と言えます.

LLLTは光療法ですので,毛細血管を損傷させるリスクはありません.LLLTにより皮膚のコラーゲン・エラスチンの合成が増加することは報告されていますので,リスクを回避しながら効果を狙えるというメリットがあります.

Q.どのような事例がありますか?

結婚式の前に3ヶ月間ほど受ける例,年齢・疲労により悪化した顔肌コンディションの改善を目的とした例などがあります.

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