人工授精やタイミング法,高度生殖医療における胚移植や採卵に鍼治療を併用することで,妊娠率が向上することが報告されて久しいですが,妊娠率の向上以外にはメリットはないのでしょうか?
もちろん併用するメリットは,妊娠率の向上以外にもいくつか考えられます。以下にいくつかの潜在的な利点を挙げてみます.妊活に鍼灸治療を取り入れようかどうか思案している方がらっしゃいましたら,是非お目通しください .
ストレス軽減
不妊治療や生殖医療は,費用負担が大きく反復不成功例も少なくないため,多くのカップルにとって心理的負担が大きいものです.鍼治療はリラクゼーションを促進し,ストレスを軽減する可能性があります.ストレスの軽減は,体内のホルモンバランスや身体全体の健康にも好影響を及ぼすことがあります.
忍耐力と希望の向上
妊娠希望カップルの高年齢化は妊活期間の長期化と裏腹です.そして,長期にわたる不妊治療や生殖医療は、クライアントにとって精神的な試練となることがあります。生殖医療に精通した鍼灸師による鍼治療は、医療サイドからは得られない情報,医学とは異なった視点からの助言が提供される場合があり,これらがクライアントが希望を持ち続ける助けとなる可能性があります。また、長く困難な治療プロセスにおいて忍耐力を保つ手助けにもなるかもしれません。
身体全体の調和
鍼治療は,八綱弁証で用いられる陰陽・表裏・寒熱・虚実などの言葉でもお分かり頂けるように,体内のエネルギーのバランスを整える術とされています.これが生殖系にもポジティブな影響を及ぼす可能性があります.身体全体の調和を促すことで,生殖器系も健康的な状態を保ちやすくなるかもしれません.
副作用の少なさ
鍼治療は一般的に副作用が少なく,他の医療行為と併用しても相互作用が少ないことが報告されています.したがって,他の治療法と組み合わせることで,安全性を高めつつ治療効果を期待できるかもしれません.
健康的な生活習慣の促進
生殖医療に精通した鍼灸師は,クライアント個々の状況を鑑み,有益とされるサプリメント,健康的な生活習慣や食事のアドバイスを提供することがあります.これにより,全体的な健康状態が向上し,不妊治療に有益な影響を及ぼす可能性があります.
鍼治療のメリットは個人によって異なる場合があり、科学的な根拠はまだ限られています。鍼治療はあくまでも東洋医学という伝統医療のジャンルに属するものであり,科学により生み出された施術法ではありません.鍼治療を生殖医療に組み込む際には、専門家と相談することをお勧めいたします.