~白内障リスクとの関連を示した日本の大規模研究~
年々厳しさを増す日本の夏.
熱中症対策は「命を守るため」に重要とされていますが,最近では“眼の健康”との関係にも注目が集まっています.
今回は,英字新聞「The Japan Times」で紹介されていた,日本の研究チームによる興味深い報告をご紹介します.
熱中症経験者は白内障リスクが約2倍?
研究を行ったのは,名古屋工業大学(NITech)の研究チームです.
学術誌『Environmental Research』に掲載された研究では,日本の健康保険データ約246万人分を分析.
その結果,
- 熱中症を経験した人は
→ 白内障リスクが1.96倍 - 「核白内障」のリスクは
→ 2.16倍
高かったと報告されています.
核白内障とは,水晶体の中心部分が硬く濁っていくタイプの白内障です.
さらに注目されたのは,30代でも熱中症経験者の白内障リスクが約3倍高かったことです.
もちろん,この研究は「熱中症が直接白内障を引き起こす」と断定したものではありません.
あくまで統計的関連を示した研究です.
しかし,
- 高熱
- 脱水
- 酸化ストレス
- 紫外線
- 慢性的な熱負荷
などが眼に負担を与える可能性は十分考えられます.
白内障とは?
白内障は,眼の中の「水晶体」が濁る病気です.
代表的な症状として,
- 視界がかすむ
- 光がまぶしい
- 夜間見えづらい
- ピントが合いにくい
などがあります.
最大の原因は加齢ですが,
- 紫外線
- 糖尿病
- 喫煙(含む電子たばこ)
- 酸化ストレス
なども重要なリスク因子として知られています.
「身体を冷やす」だけでなく「眼」も守る時代?
研究チームは,
「熱中症時には身体だけでなく眼も冷やすことを考えるべき」
とコメントしています.
近年の日本の夏は,
- 高温
- 強い紫外線
- 高湿度
が同時に起こる環境です.
つまり,身体にも眼にも大きな負担がかかりやすい時代になっているのかもしれません.
熱中症と白内障リスクを下げるためにできる工夫
① 暑さを我慢しない
特に高齢者は,
- 「まだ大丈夫」
- 「冷房は身体に悪い」
と考えがちですが,体温上昇そのものが身体や眼への負担になる可能性があります.
工夫
- エアコンを適切に使用
- 夜間も室温管理
- 炎天下の長時間活動を避ける
- 無理な節電をしない
② 紫外線対策をする
白内障予防では,紫外線対策が非常に重要です.
工夫
- UVカットサングラス
- 帽子
- 強い西日を避ける
- 真夏の日中外出を減らす
特に夏場は,熱と紫外線が同時に眼へ負担をかけます.
③ 脱水を防ぐ
脱水は熱中症だけでなく,全身循環や代謝にも悪影響を与えます.
工夫
- のどが渇く前に飲水
- 起床後・入浴前後にも水分補給
- 高齢者は時間を決めて飲む
④ 禁煙・血糖管理
喫煙や糖尿病は,白内障の代表的リスク因子です.
また糖尿病は熱中症重症化にも関係します.
⑤ 栄養・休養を大切にする
水晶体は「酸化」に弱い組織です.
そのため,
- 緑黄色野菜
- ビタミンC
- ビタミンE
- 青魚
などを含む,バランスの良い食事は大切です.
また,
- 睡眠不足
- 慢性疲労
は体温調節能力を低下させ,熱中症リスクを高めます.
屋内熱中症にも注意
昨年,日本で熱中症により救急搬送された人は10万人を超え,その3分の1以上は屋内で発症したとされています.
「家の中だから安全」とは限りません.
特に,
- 高齢者
- 夜間
- 閉め切った室内
では注意が必要です.
まとめ
熱中症は「一時的な体調不良」だけではなく,将来的な眼の健康とも関係する可能性があります.
もちろん,今回の研究だけで全てが分かったわけではありません.
しかし,
- 暑さ対策
- 紫外線対策
- 水分補給
- 睡眠
- 栄養管理
といった基本的な生活習慣は,熱中症予防にも,眼の健康維持にも役立つ可能性があります.
これから迎える猛暑シーズン.
身体だけでなく,『眼を守る』という視点でも暑さ対策を意識してみてはいかがでしょうか.
