はじめに
暑かった夏も過ぎ去り、季節の移ろいを実感する今日この頃です。
季節の節目と言えば節句、日本には「五節句」と呼ばれる行事があります。これは古代中国の暦に由来し、日本独自の風習と融合して受け継がれてきました。
人日の節句・上巳の節句・端午の節句・七夕の節句・重陽の節句。どれも季節の変わり目を意識し、無病息災や長寿を願うものです。
現代では一部しか知られていませんが、節目ごとの意味を知ると一年の流れがぐっと豊かに感じられます。
1月7日 ― 人日の節句(じんじつ)
七草がゆの日。
新年のごちそうで疲れた胃を休め、春の七草で邪気を払います。古くは中国で「人の日」とされ、人を大切にする日と考えられていました。
2025年は2月6日が旧暦1月7日となります。
3月3日 ― 上巳の節句(じょうし)
ひな祭り。
女の子の健やかな成長を願う日で、雛人形や桃の花を飾ります。もともとは川で身を清める「流し雛」の風習がありました。桃は邪気を祓う力があるとされます。
2025年は4月10日が旧暦3月3日となります。
5月5日 ― 端午の節句(たんご)
こどもの日。
男の子の健やかな成長を願い、鎧兜や鯉のぼりを飾ります。菖蒲(しょうぶ)湯に入る習慣もあり、「菖蒲」が「尚武(武を重んじる)」に通じることから、勇ましさを象徴しました。
2025年は6月10日が旧暦5月5日となります。
7月7日 ― 七夕の節句(しちせき/たなばた)
星に願いを託す日。
織姫と彦星の伝説と、日本の機織り祭「棚機津女(たなばたつめ)」が合わさったものです。短冊に願いを書き、笹に飾る習慣は江戸時代に庶民へ広がりました。
2025年は8月30日が旧暦7月7日となります。
9月9日 ― 重陽の節句(ちょうよう)
菊の節句。
九は「陽」の最大の数で、それが重なることから「重陽」と呼ばれます。不老長寿を願い、菊を愛で、菊酒をいただきます。今では忘れられがちですが、五節句を締めくくる大切な行事です。
2025年は10月29日が旧暦9月9日となります。
おわりに
五節句は、季節の変わり目に身体を整え、邪気を払う知恵から生まれました。
「七草がゆ」「ひな祭り」「こどもの日」「七夕」は馴染み深いですが、最後の「重陽の節句」も含めて五つ揃えると、1年の流れが見事に完成します。
今年はぜひ、季節ごとに「五節句」を意識してみてはいかがでしょうか。